今生きている人にとって切迫した問題とは一つしかない。それは「からだ」だと思う。病気とか生物という意味ではなくて。 人間は「からだ」を持っているのだろうか?人間は「からだ」と自分が別になっていると考えているのではないか?という切迫した意識があったんです。 犬や猫、鳥などはそんなこと一生死ぬ瞬間まで考えない、「からだ」と自分が一緒だから。でも人間は「からだ」と自分が別になっているのではと考えたんです。今生きている人間で、誰が自分の「からだ」を持っていると言えるのだろうか、と。自分のオリジナルだということ、オリジナルとしての自分を、いつの間にか失くしていたのではないか? だから、人はある部分を共有したい、ある部分を犬とかに預けたい、ということ。それは年齢などに関係なく、実は「からだ」を既に失くしているのではないかという問いかけが『イノセン ス』の出発点です。 |